朝日ヶ丘スミレ団

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■ 序章 バードマンの代償

・ 中庭にて

(全く、給料はカットされるし、1号は問答無用で研修スケジュールに組み込まれるし、本部はやり方が強引なんだよ)
 翌日。アルマイトは、本部の中庭に寝転がっていた。浜風が肌に心地よいが、とても明るい気分にはなれない。どうにも納得がいかないのだ。
(1号に、なんて言えばいいんだ……)
 寝返りを打った拍子に、歩いてくるケネスの姿が視界に入った。ケネスはアルマイトの傍らに身をかがめると、あきれたように言った。
「まだ居たの」
「アレイ隊長が、一日特別休暇をくれたから、コピーと会ってきたんだ。夜には発つよ」
「なるほどね」
 アルマイトは、身を起こすと尋ねた。
「それにしても、なぜあそこにいたんだ。君は本部直属のバードマンで、教官じゃないだろ」
 ケネスはそのまま座り込む。
「精神能力開発教官として協力してくれって、ハガンさんに言われたの」
「それで、1号に精神能力の素質があるって、どういう事なんだ?」
「まだ断定はできないけど、彼には恐らく透視能力があるわ。テレパシーもあるかも。あなたのレポートによると、事件中に壁の向こう側が見えたって言うじゃない。それに、2号との意志疎通も一番できているようだし」
「それは、考え過ぎじゃないのか」
「あなたも、リーダーなんでしょ。リーダーが部下のこと信じてやれなくて、どうするのかしら」
「本部直属に現場の苦労が分かるか」
 ケネスの口調はからかっているようだったが、見つめる顔は真面目だった。つい、嫌味の一つも言いたくなる。ケネスは表情を変えずに答えた。
「地球に行ってから、だいぶだらけたようね。あなたの実力を買ったから、抜擢されたと思っていたのは間違いだったのかしら。私が同席していたもう一つの理由、話しましょうか」
 ケネスは、腕時計型の端末から何かを引き出すと、読み上げ始めた。
「『42星区地球支局パーマングループ調査報告書』」
 アルマイトの顔が引きつる。
「ちょ、ちょっと、じゃ、バード星からの調査員って、ケネスさんだったのか?」
「一部始終、見させてもらったわ。これ以上は機密だから話せないけど」
これ以上恥をかきたくなかったアルマイトは、胸をなで下ろした。
「この次も、私が調査に来ると思わないことね。それじゃ、1号に会えるのを楽しみに待ってるわ」
「あたしも行くよ。これ以上ケネスさんにいびられたくないからな」
 アルマイトは苦笑しながら立ち上がると、建物の方に歩き出した。ケネスはその後ろ姿を見送るとつぶやいた。
「アルマイト・カラコルム、あなたはやればできる人間のはずよ。地球地区のパーマン計画は、頓挫させるわけにはいかないわ。しっかりね」

※カラー版イラストは『パーマニアの指定席』美術館にて


・ 調査員ケネス

本文中にある通り、一部始終を見ているイメージ。



・ 調査員ケネスの感想

親子とも称されるふたりを見て。




・ 機密事項

実はアルマイト自身も調査対象だったという・・・




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